オレンジ色の恋 ~切なさは誰の物?~
2
その後、しばらく私は綾斗をなんとなく避けていた。

遠くから見かける時だけ、笑った綾斗の姿を見ていた。

部活でもあえて話すこともせず、黙々と泳ぐことに集中した。


あっ……。

今日はどうやら早く来すぎたなとプールにそっと近づくと、真剣に泳ぐ綾斗の姿が目に飛び込んできた。

キレイ……。

キレイなフォームで水しぶきを上げて泳ぐ綾斗に、私は一瞬で目を奪われいつものように、隠れることも避けることもできずただ、プールサイドから泳ぐ綾斗を見ていた。

バシャンと音を立てて、顔を上げた綾斗と目が合った。


< 16 / 25 >

この作品をシェア

pagetop