和泉くんの考えてることはわからない。
◎* Chapter 1

◇ 大好きな和泉くん




高校生になってから、私は周りの友達に「元気だね」とよく言われるようになった。


少しの苦笑い付きで。





花宮栞里 (はなみやしおり)。


そんな可憐で清楚に聞こえる名前の私は今。




「和泉くん、和泉くん!」


元気に。そりゃもうとびきりの笑顔で。大好きな人を追いかけています。




「しつこいよ、花宮さん」


通った鼻筋。切れ長の二重瞼。薄い唇。黒い髪。



誰もが一度が振り向くようなその容姿の彼は、今日も私をめんどくさそうにあしらう。



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