和泉くんの考えてることはわからない。



「もうそんな時期なのねぇ…」


そう呟いたおばさんは、手慣れたように花束を作ってくれた。




「はい、どうぞ」

「ありがとうございますっ」




渡されたのは、アネモネの花束。


ピンク、白、紫……色とりどりなそれは、ここに来るたびに買っているもの。



パパとママの、思い出の花だから。







「─────…久しぶり。パパ、ママ」




墓地へ着くと、真っ先に"花宮"の名前が入った墓石の前に花を添えた。



それと同時に、話しかける。




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