和泉くんの考えてることはわからない。



「何まんまと従兄弟にキスされてんの、って聞いてんだけど」

「な…っ、」


あの日のことを持ち出せば、無意識なのか手が唇を抑えた。



……ムカつくんだよ。


そんな反応されたら、嫌でもあれが未遂じゃ済まなかったことが分かってしまう。




一歩近づいてその手首を掴めば、自然と距離も縮まるわけで。



「隙、ありすぎ」


掴んだその手首に、自分の唇を触れさせた。




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