和泉くんの考えてることはわからない。
「 (私の方が和泉くんのかっこよさ知ってるもん…) 」
変なところで対抗してしまう私は、どれだけ心が狭いんだろうか。
何だかショボンとしながら、私も校内へ入ろうとした、その時。
「栞里ちゃんっ!」
「…へっ?」
思いっきり、後ろから。
私は、何者かに抱き締められてしまった。…それも、ものすごい突進付きで。
当然、校門でそんなことが起これば登校中の生徒全員の注目を浴びるわけで。
一瞬。ほんの一瞬だけ、遠くの玄関にいる和泉くんもこちらを見た気がした。