和泉くんの考えてることはわからない。



「会いたかった〜…」



けど、今の私はそれどころじゃない。




抱き締められるといっても、明らかに私より高いその身長。


そしてこの声。この懐き具合。




『慎くんに会ったかい?』


…おまけに、今朝のお婆ちゃんの言葉。





「……慎くん?」

「そうっ!栞里ちゃん久しぶりー!」


ゆっくりとその名前を呼べば、背後の人物は私の前に回り込んで再び正面から抱き締めた。



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