和泉くんの考えてることはわからない。
「おいで、栞里」
私の使うベッドに腰掛けた蒼くんは、ポンポンと隣を叩いた。
旅行中はずっと「花宮さん」だったから、久しぶりに呼ばれた名前にドキッとする。
「ん。素直だね」
「……蒼くんが呼んだんだよ?」
迷うことなく隣に座った私の頭を、蒼くんは優しく撫でてくれた。
あぁ、幸せだ。
そしてなんか、いつも以上にドキドキする。
隣からクスリと笑い声が聞こえたのは、そんな時だった。
「緊張しすぎ。ドキドキしてんの?」
私のことなんて全てお見通しかのように、蒼くんは核心をついてくる。