見た目通りには行かない



定時に上がるだけ
誰も不思議には思わない

この会社の方針なのか基本は残業なし、残業も一時間以内
こんな大きな会社なのに残業なしなんて嘘だと思っていたけど、それだけ優秀な社員が揃ってると言うこと
みんな早々に退社している
きっと社員が生き生きと働いている理由の一つなんだろう
そう思うとそれを創り上げた社長に興味がわいてきた


だからと言って今日の約束が楽しみになるわけじゃないけれど



営業二課の部長に資料を渡すと同じように「お疲れ様」と言って申し訳なさそうに眉を寄せていた




「お疲れ様です」そう言って営業二課を出ようとすれば
「か、川口さん!」と声を掛けられた


足を止め振り返ると三人の男性社員がいた
何事かと不思議に思い「はい?」と首を傾げれば「うわっ」と三人が口許を抑えほんのり顔を赤らめた


「間近で見たら、やばっ………あ、いやあの今日はもうあがりですか?」
「良かったら飲みに行かない?企画課の他の人も誘って」



行きたい、行きたいですよ………なんて甘美な誘い
でも……


「ごめんなさい、今日は今から予定があって
企画課の人に聞いてみましょうか?」



企画課の女性は美人が多いと言われててこんな風に企画課との飲み会を言われる事は初めてじゃなかった
みどりさんなんて、本当に素敵だもん
なので、そういうと「あ、いや川口さん無理なら別の日に」と

私に声を掛けたから気を使ってくれてるのかな?
それでも、その優しさに癒され
「じゃあ、社内メールで」と言って別れた


社長待ってるかな?
慌てててロッカーに向かった



その後ろで
「川口さん、まじ可愛いわ」
「彼氏いないらしいぞ」
「まさか営業二課に来てると思わなかったな、ラッキーだよな」
そんな話をしてるなんて知らなかった





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