見た目通りには行かない





麗ちゃんも、尊から離された手をどう思ったのだろうか
好きだと言えない尊なんて好きにはなれないだろうか

麗ちゃんの事は好きだけどやっぱり俺は尊も好きなんだ
尊の恋を応援したい



「幸輝にも竜にもやらない」

「だったら!」


ちゃんと好きだと伝えろよ!



「一目惚れだと伝えた」

「好きなのか聞かれたのにか?
お前、それ麗ちゃんに失礼だぞ」

「……………制御できねぇんだよ」

「え?」

「好きだと言葉にしたら自制が訊かなくなりそうだ
一目惚れ?そんなもんじゃない
たった一日で堕ちたよ
だけどまた、あいつみたいに居なくなったら」

「尊………麗ちゃんは元カノとは違うよ」



珍しく本音をぶつけてくる尊に驚く
そうは言っても、麗ちゃんとまた接点持つのは骨が折れる
連絡先位聞いとけよ


好きだと言えない尊をどう思っただろうか?
何度目かの自問を繰り返す

尊は確実に距離を取ってしまった


頑張って踏み込んできてくれたであろう麗ちゃんを突き放したようなもんだ

はぁーっと大きな溜め息が漏れる


コンコン


少し遠慮気味に扉をノックする音がきこえた
時計を確認したらまだ、就業時間前だ

誰だ?何かトラブルでもあったか?


「どうぞ」


尊の声にガチャと扉が開いて……


「おはようございます」

「麗ちゃん?」



そこには今話題の麗ちゃん

麗ちゃんはゆっくりと尊へ近付いて行った




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