見た目通りには行かない





「幸輝!」



幸輝さんは何もなかったかの様に社長室を出ていった

幸輝さん!イケメンは何しても許されると思うなよ~!

私が唖然としていると、尊さんの腕の力が強くなった



「た、尊さん……」


私が抵抗すると更に力を強めて、耳にキスをした


「ん……」

何度も何度も

「た、尊さん……」


止めようとしない尊さんにふと、ある言葉が頭を過る



"好きじゃないなら別れるって啖呵切っちゃいな!"


たぶん、自惚れじゃなければ尊さんは今幸輝さんに嫉妬したよね?
食堂ではみどりさんにも

行動にはいつも好意を感じるのに、言葉がないのはやっぱり辛い
七瀬さん、みどりさん、振られたら慰めてくださいよ


「尊さんは私のこと好きですか?」

尊さんは漸く耳へのキスを止めてくれる

「………一目惚れだと言っただろ」

「わかりました」


私はとんっと尊さんの胸を押した
咄嗟の事に尊さんも力が入ってなかったみたいで腕が離れた


「麗……」

「私は、私のことちゃんと好きで居てくれる人とお付き合いしたいんです」

「だから……」

「私は好きかどうか聞いたんです!
何度も言えなんて言いません
私のこと好きじゃないなら別れましょう
惰性で付き合う必要はないですよ」


私はそう言って、尊さんから距離を取って社長室から出ようとすると腕を引かれた


「ん……」



乱暴でそれでも優しいキス
何度も角度を変えて奪われる
やっと、離れる時にはお互い息が荒くなっていた



「好きだ」

「え?」

「好きなんかじゃない、愛してる」

「……っ」

「お前が離れたいと言っても離さない、麗……覚悟しろよ」


そう言って、またキスをした








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