見た目通りには行かない



「良かったな、尊」

「良くないんだよ!
だって!尊まだ、ヤってないんだよ!
大人の男と女が!信じられないよ!」

「光輝……」

「え、あー、それは光輝………尊の事なんだからお前がとやかく言うなよ」


いくら秘書とは言え、社長のリアルな女事情に……
お前はもっと節操を持て!


「言うよ!尊が早くモノにしてくれないと俺と竜が諦めつかないだろ」

「は?"俺と"って光輝も?」


いったい、どれだけいい女なんだよ
竜に光輝に尊って……
竜の姿も思い出して苦笑いしてしまう

この三人に惚れられる女っていったい……



「だからって、尊だって態々、報告しないだけでさ、もしかしたら……」

「ないね、尊は彼女にべったりだからなヤったらすぐわかるね!
まだ、キス止まり!しかも、や~っと好きだって言ったんだよね?」

「うるせぇ」


へぇー、尊がべったりねー
そんないい女?


「そんないい女なら会いたいなぁ
俺も惚れるかな?」


俺は七瀬一筋だから絶対ないけどな
一瞬で隣の空気が変わった
尊の視線を感じる

目があった瞬間殺されるかと思った



「た、尊!和也は、七瀬一筋だろ?な?
この男は七瀬だけが女なんだから!
いつも、七瀬が俺の最初で最後の女だーなんて寒いこといってんじゃん!
冗談に決まってんじゃん!」


光輝が必死で尊を宥めている
怖いんだけど……

それにしても!聞き捨てならん!


「光輝!お前は誰彼構わずヤリ過ぎなんだよ!いつか病気もらうぞ!」

「和也は、七瀬童貞だろ!モテる俺を羨ましがるな!」

誰が羨ましがるか!

プルルと俺たちのやり取りを宥めるような着信音が響いた
俺じゃない
直ぐに光輝も確認する
トラブルか?


「俺じゃない、尊?」



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