見た目通りには行かない

彼女の兄の彼女





もうちょっと楽しみたかったなぁ


「な、七瀬!お前、知ってたのか?」
和也が戸惑いながら聞いてくる
麗ちゃんも、「七瀬さん?」
なんて可愛く聞いてくるから



「麗ちゃん、紹介するね
ご存知、こちらがあなたのお兄さんの和也、
そして和也と私の友達の尊くんと、光輝くん」


麗ちゃんは、すぐに納得したみたいだけど
うんうん、
そうだよね?


「麗の兄」「麗の彼氏」
尊くんと和也の声が重なった


光輝くんは「すっげぇ、偶然」とケラケラ笑うけど二人はそうはいかない
そりゃ複雑よね?
男二人が頭を抱える姿がなんだか面白い


「麗ちゃんが尊の彼女なのか?」

そう言ったのはたぶん、この店の店主

「あ、はい」

「そっか!麗ちゃんが!尊のこと、頼んだよ!
尊、お前麗ちゃん泣かせたらここの連中に袋叩きにされると思えよ!」

「おじさん」


きっと、麗ちゃんは可愛がられてるのだろう
そして、尊くんのことも


「七瀬、」

そう言って和也が隣の席を指したが店主のおじさんがそれを阻止した

「麗ちゃんと可愛い彼女はこっちだろ
麗ちゃんの指定席だからな」


と、ニヤリと笑いながら奥の座席に案内された
私と麗ちゃんは目を合わせて笑いながらその座席に座った



「なに?親父さんこの美女二人は?親父さんのこれ?」



近くに座っているサラリーマン風の人たちが賑やかになる
いいな、この雰囲気
少し古びた感じだけど暖かい




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