“あなたを愛しています”






司君のことは気にせず、残りの仕事を終わらせようとパソコンを見る。

そんな私に、由希さんがまた余計なことを吐く。




「今日ぐらい、残業やめて帰ったら?」



「え?」



「ほら、彼氏待ってるでしょ?」



「かっ、彼氏じゃありません!!」




そう言いながらも、顔は真っ赤になってしまう。

胸がドキドキうるさい。

司君が本当に彼氏だったら良かったのに、なんて思ってしまう。




真っ赤になった顔で、ちらりと司君を見る。

彼は嬉しそうにこっちを見ていて……

まるで、散歩を待つ犬みたいで……



「帰ります」



思わずそう言って、立ち上がってしまった。


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