“あなたを愛しています”




もう、心臓が口から飛び出すかと思った。

それにしても、由希さんはなんて冗談を吐くんだろう。

そんなことを言われると、期待しちゃいけないって思うのに、期待してしまう。

あー、もう頭の中、ぐちゃぐちゃだ!!





そんな私の耳に、



「本当ですかぁ!?

それ、まじで嬉しいんですけど!!」



司君の明るい声が飛び込んでくる。




ちょっと……

司君、からかってるの!?

私の反応見て、楽しんでいるんでしょう!!





「じょ、冗談はやめてよ」




苦し紛れにそう告げるのが精一杯だった。




思わせぶりはやめて欲しい。

期待してしまうから。

かつての恋人も、そんな甘い言葉を吐いた。

だけどその言葉は、ただの都合のいい嘘だった。


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