“あなたを愛しています”




手の感覚がなくなってきた。

手だけではない、足だって凍るように冷たい。

もうそろそろ終わりにする?

そう言おうと司君を見たが、予想外に真剣な顔をしていて何も言えなかった。





そのまま時間が過ぎていき……





「あった!」




司君の大声が聞こえた。

通行人がビクッと飛び上がり、そして知らないふりをして通り過ぎていく。

そんな中……




「花奈ちゃん!あったよ!!」




嬉しそうに私に駆け寄り、私の手をぎゅっと握りしめる司君。

握られた手が溶けてしまいそうだ。

そのまま手を取り合い、出会ったあの日のように



「やったあ!やったよぉ!!」



飛び跳ねていた。


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