“あなたを愛しています”







教会の後ろにスタンバイした私は、がくがくと震えていた。

それを必死に隠し、前方を見守る。

式が終わったら、いよいよ仕事開始だ。

披露宴の流れを復習しようと思うのに……司君が気になって仕方がない。




白い花で飾られた教会の椅子に座るゲストの中から、必死で司君を探していた。

そして彼は……すぐに見つかる。





私からほど近いその場所に、彼は友達と座っていた。

黒髪だらけの男性の中で、彼のほんのり茶色の髪はよく目立つ。

その髪から覗く、整った横顔を見た瞬間……

胸が甘い音を立て始める。

顔がにやけてしまう。

司君しか見えなくなる。

そんな私の耳に、司君と男性の会話が微かに聞こえてきたのだ。



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