“あなたを愛しています”
震えながら後ずさりする私を見て、
「その人、引いてるよ」
弘樹さんが困ったように言う。
だからようやく司君が弁明してくれた。
「花奈ちゃん、俺の彼女だもん」
そんな言葉に惑わされてはいけない。
第一、私は今、仕事中だから。
それなのに、「彼女」という言葉を聞いただけでにやけてしまう。
あー、私、司君の彼女だって。
司君、ちゃんと紹介してくれるんだって。
そんなピンク色の私の耳に、インカムから声が溢れてきた。
「新郎新婦の入場、準備が出来ました」