“あなたを愛しています”




「あー……」




藤井さんは相変わらずのんきに、なにかを思い出したように告げる。




「そういえば、他の仕事があるから帰ってもいいですかって聞かれて、いいんじゃねぇ?って答えました」





あ……あり得ない。

藤井さんは大馬鹿なのか。

だいいちなんで、藤井さんが林さんの仕事まで指図出来るのだろう。

この人、料理の腕は確かだが、根本的なところが抜けている!!





わなわな震える私に、



「どうしたんすか?」



どうせ大したことでもないだろうとでも言うように、藤井さんが言う。

そんな藤井さんを突き飛ばし……私は走り出した。



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