“あなたを愛しています”




司君は私と付き合っているのに、元カノに会ったんだ。

そしてそれを悪いこととも思っていないんだ。

末期だ。

浮気性の人の末期症状だ。

浮気しすぎて、善悪の区別もつかないんだ。

私はこんなに好きだったのに。

好きなのは、私だけだったんだ。






浮かない顔の司君の綺麗な頰を……

思いっきり殴っていた。

それも、げんこつで!!





拳に痛みが走る。

だけど胸のほうがもっと痛かった。




「痛ァッ!!

ちょっと……花奈ちゃん!!」




頰を押さえて泣きそうな顔をする司君に向かって、泣きそうな顔で叫んでいた。




「司君なんて、大嫌いだから!!」





大嫌いのはずがない。

こんなにも好きだったのに。

浮気性の司君は、私の気持ちを弄んだだけなんだ。



< 192 / 353 >

この作品をシェア

pagetop