“あなたを愛しています”






その部屋は、豪華な花でいっぱい……

なんてことはなかった。




広々としたリビングには服が脱ぎ散らかしてあり、テーブルの上には飲みかけのジュースが置いてある。

お世辞にも綺麗な部屋とは言えなかった。

そして、花なんてどこにもなかった。






「あのさぁ……

司君って、おぼっちゃまなんだよね?」



思わず聞くと、



「おぼっちゃまって何!?

超嫌な響きなんだけどぉ」



顔を歪められる。

だから慌ててごめんと謝った。





おぼっちゃまは訂正したとしても……

この汚部屋は何!?

とても金持ちで育ちのいい人の部屋だとは思えないんだけど。

それか……まさか、家事が出来ないパターン?

大学時代から一人暮らしをしているのに、何も出来ないパターン!?


< 220 / 353 >

この作品をシェア

pagetop