“あなたを愛しています”


私の視線に気付いた司君が言いにくそうに告げた。




「花奈ちゃんに叩かれて、ショックで道をさまよっていたら、通りすがりの人にお花もらっちゃって。

生けるの面倒いし、家に置いても枯れるしなぁ」




ツッコミどころ満載の言葉だ。

これが天才フラワーデザイナーの言葉か。





「じゃあこの花、どうするの?」




そう聞いた私に、困った顔で彼は言う。




「うーん……捨てちゃうかなぁ」



「捨てる!?」




そして、狂った私はとうとう言ってしまった。


「じゃあ、私が生けてみる」



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