“あなたを愛しています”
俺のお馬鹿な妄想は、
「何してはる!?」
鋭い男性の声に掻き消された。
その声を聞き、背中をぞーっと震えが走る。
このまま花奈ちゃんと逃亡しようと思ったのに……ここまでなのか。
振り向くと、怒りに顔を真っ赤にさせた父親と、悲しげな母親が立っていた。
「お前をそないな男に育てた覚えはあらへんで」
父親は、俺を殺してしまいそうな勢いだ。
そんな父親に向かって、最後の悪あがきとして声を荒げた。
「お父さんは俺のこと、何一つ分かってくれない。
俺はただの跡取りで、俺の人権は無視なの?
夢や楽しみを全て奪われて……彼女だって奪われる。
そんなん無理!
俺は花奈ちゃんと結婚するんだから!!」