“あなたを愛しています”
「私はお前をそないな風に育てた覚えはあらへん。
お前を見て、弟子たちも怒ってはるやん」
その言葉を無視して、俺は部屋を出た。
俺が家を捨てたのも、父親が俺をそう育てたからだ。
そんなこと言うと、余計な戦いになりそうだったからぐっと黙った。
来るべき決戦に備えて、体力を温存しないといけない。
それほどまでに、父親と俺の間には修復不可能な溝が出来ていたのだった。
仕方なく着物に着替え、みんなの待つ部屋へ向かう。
やっと花奈ちゃんに会える。
そう思うと胸が熱くなる。
ここに軟禁されていた一週間、それはそれは退屈だった。
一日中花奈ちゃんのことを考えていた。
そして、やっぱり花奈ちゃんしかいないと思い直した。