“あなたを愛しています”





花奈ちゃんは俺を見て、さらに頰を染めて俯く。

そんな花奈ちゃんが大好き。

今すぐにでも抱きしめたい。





だけど……花奈ちゃんがそんな顔をするのも分かった。

だって……黒髪の女性はきちんと着物を着ているのに、花奈ちゃんはぼろぼろだから。

だけど、そんな様子すら愛しい。

俺がちゃんと着せ直してあげないと。




「花奈ちゃん!着物を……」




そんな俺の言葉を遮ったのは、悪意たっぷりの父親だった。




「着物の乱れは気持ちの乱れや。

もう勝負は始まってんで」



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