“あなたを愛しています”
怯んでしまった私に、
「花奈さん。
やめるなら今のうちどす」
司君の母親が言う。
そんな二人をしっかりと見て、
「やめません」
はっきりと告げる。
負けることは決まっている。
恥さらしになることは分かっている。
だけど……どうか……!!
こんな私を冷たい目で見て、
「好きなようにしはったら良いのと違います?」
彼女は告げた。
その言葉が、グサグサと胸に突き刺さった。
司君がまた何か言いたげに立ち上がろうとしたが、やっぱり弟子に止められてしまう。
そんな様子も、私の胸を締め付けた。
司君が好き。
我ながら京都に乗り込んで、何してるのって思う。
こんな愚かな行為をしてしまうほど、司君を取り戻したい。
いや、司君と結婚させて欲しい。
私は良家のお嬢様ではないが、この気持ちだけは負けないから。