“あなたを愛しています”






それから……





司君は酷すぎた。

驚くほど酷くて、全てをぶち壊した。






書道では「性交」と超下手な字で書き上げた。

バイオリンが出来ると言って、どこからともなく持ち出したエレキギターを大音量で鳴らした。

茶道では、茶碗にコーラを入れて、茶筅で滅茶苦茶に泡立てる。

そしてポテトチップスを添えてドンッと桜子さんの前に出した。

それで桜子さんはショックを受けて帰ってしまって、司君の母親は泣き出してしまう。

父親はもうカンカンで、



「お前にはもう、つきおうてられんさかいに!」



と怒鳴っていた。

残った弟子たちはおろおろし、どこからともなく現れた菜々子ちゃんが楽しそうに笑っていた。



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