“あなたを愛しています”





彼はその整った顔をくしゃっとさせて、



「見に来てくれたんだぁ!」



嬉しそうに言う。

その笑顔が眩しくて、顔を背けていた。





「偶然……先輩と……」



そう言いながらちらりと後ろを見たが、由希さんの姿はない。

桜庭司なんて忘れて、有名女優にぞっこんなのかもしれない。

その事実にホッとした。

桜庭司と言う名の変人といるところなんて見られたら、また騒がれるに違いない。


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