“あなたを愛しています”





私は再び、大広間の中を見た。

赤と白の華やかで艶やかな空間に見惚れてしまう。

まるで、ドラマや映画の世界みたい……

いや、今からドラマの撮影が始まるんだ。

そしてこの世界は、目の前にいる彼が作ったんだ。

そう思うと身体が震えてしまったのだった。




だけど……

努めて平静を装い、知らないふりをして聞く。




「へ、変人……じゃなくて、桜庭さん、凄い人なんですね」



すると彼は、



「変人!?」



思わず口が滑ったその部分に引っかかったらしい。

その後の言葉は全く聞こえなかったらしく、泣きそうな顔で私に縋る。




「おっ、俺!いつから変人になったんですか!?

せめて司ちゃんとか、つかぽんとかにしてください」




いや、司ちゃんとかつかぽんもないでしょ。なんて心の奥で突っ込んでしまった。


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