“あなたを愛しています”





だけど……ふと思った。

私はいつから司君に惹かれているのだろう。

少なくとも、会ってから数日は大嫌いだった。

常識がないし、フリーターだと思っていたし。

でも……有名なフラワーデザイナーと分かった瞬間、何かがぐらりと揺れた。





……そう、私はきっと、司君自体が好きではないんだ。

凄い人だから惚れてしまったんだ。

我ながらサイテーだと思った。






甘ったるいカクテルを飲みながら、ちらりと司君を見る。

彼はやっぱりかっこいいその顔で楽しそうに笑いながら話を続ける。




「花奈ちゃんはどこ出身なのぉ?」



「東京……」



「えー!!根っからの都会人なんだぁ!

かっこいいなぁ」




かっこいいのは司君なのに。

見た目だけでなく、その技術、極めつけに関西弁。

全てがかっこいいのに。


< 68 / 353 >

この作品をシェア

pagetop