“あなたを愛しています”








司君に会える。

それがたとえ仕事だとしても、私の胸はこんなにも熱くなるんだ。









次の日……

オフィスは、桜庭司が来るという話で持ちきりだった。

オフィスだけでない。

偶然居合わせたホテル専属のフラワーデザイナーの林さんも興味津々だった。




「松島さん、どうして桜庭司がそんな無茶な要求を受け入れたんですか?」




無茶な要求、その言葉がぐさりと胸に突き刺さる。

言われなくても分かっている。

パスポート探しのお礼だと言って、有名な司君にあり得ないことをさせていると。

そんな私の心のうちなんて、誰も知るはずがない。




「もしかして、桜庭司って花奈ちゃんのこと好きなんじゃない?」




いきなり発せられた由希さんの言葉に飛び上がった。


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