“あなたを愛しています”







由希さんと林さん、そして吉川さんは散々私を茶化して去っていった。

「桜庭さん、愚かな松島をお願いします」と言って。

その言葉の通り、本当に愚かだと思った。

愚かだと思うほど、司君が好きだ。

好き、そう思うとまた、身体が熱く火照るのだった。






三人が去っていったオフィスは、やけに静かだった。

その静寂の中、震える声で、



「うるさくてごめんね」



とだけ、ようやく告げた。

再び沈黙が訪れるかと思ったが……




「ううん。

花奈ちゃんの職場、楽しそうだねぇ」




司君が笑顔で言う。

その太陽みたいな笑顔に、また胸がときめいた。


< 91 / 353 >

この作品をシェア

pagetop