“あなたを愛しています”




彼はわざとらしく舌を出し、開かれた段ボール箱から透明な花器を取り出した。

捻れたり所々細くなったりした、お洒落な花器。

それを丁寧に扱う、司君の長い指に見惚れてしまう。

そして、それを見る司君はやっぱり寂しげだった。




だから思わず言ってしまう。




「司君は、今の仕事が天職だと思うよ」



「……え?」




彼は驚きの表情を浮かべた顔を上げた。

その綺麗な顔にどきんとしてしまうが……

私は負けない。

司君はすごいってこと、伝えたいと思った。


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