“あなたを愛しています”





再び沈黙が訪れる。

その沈黙の中、



「花奈ちゃん」



司君がそっと私を呼ぶ。

その甘い声で呼ばれると、全身の毛穴がきゅーっと締まった。

そして、司君の寂しげな顔は、みるみるうちに嬉しそうな笑顔に変わっていく。

それはもう、綺麗な花が花開くみたいに。




その眩しい笑顔のまま、司君は言う。




「ありがとう」




そして、何を思ったか腕をぐるぐる振り回した。




「さー!俺、頑張らなきゃ!!」



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