ほんもの。

「私、安藤が鬱陶しいと思っても、そういうの気にするから。だから、嫌だったらごめんね。で、もしも我慢ならなくなったら、別れよう」

安藤の手が止まった。

私は手を動かし始めた。

その後、私たちは静かにご飯を食べて、店を出た。

「また来てね」と高梨さんは私に言ってくれた。何のわだかまりもなく、私は「はい」と答えた。







年末は忙しい。年度末も忙しいけれど。

「お疲れさまー、お先に」

先輩の声に「お疲れさまです」と返す。あれ、なんか可愛いネックレスをしている。

「伊勢先輩、彼氏ですか?」

「わ、わかる?」

先輩が目をパチクリさせた。

< 125 / 235 >

この作品をシェア

pagetop