ほんもの。
「私、安藤が鬱陶しいと思っても、そういうの気にするから。だから、嫌だったらごめんね。で、もしも我慢ならなくなったら、別れよう」
安藤の手が止まった。
私は手を動かし始めた。
その後、私たちは静かにご飯を食べて、店を出た。
「また来てね」と高梨さんは私に言ってくれた。何のわだかまりもなく、私は「はい」と答えた。
年末は忙しい。年度末も忙しいけれど。
「お疲れさまー、お先に」
先輩の声に「お疲れさまです」と返す。あれ、なんか可愛いネックレスをしている。
「伊勢先輩、彼氏ですか?」
「わ、わかる?」
先輩が目をパチクリさせた。