ほんもの。
この年末を乗り越えたらそうしてみる、という返事。
「そうですねえ」
「そういえば忘年会の出席、つけろって」
矢敷さんがホワイトボードの方を視線で示す。マグネットで貼られている紙に目が留まる。
……忘年会か。
『年末はこっち来るんでしょう?』
母からの問いに、テレビの横に置いてあるカレンダーに目がいく。
年末、安藤はどうするんだろう。
『来年の元日はカニ祭の予定よ』
「カニ……」
『お兄ちゃんは来ないみたいだから、カニ食べ放題ね……』
その言葉に、誰が肯定を示さないというのか。