ほんもの。

私の容姿が普通であることも分かっている。

「急にどうした」

「どうせ私のキッチンには欠けた菜箸しかないし、出汁巻き卵も碌に作れないし、」

「まず月白の家には卵焼き器ないだろ」

「あるよ!? 作れないだけだから!」

「ああごめん、悪かった」

どうどう、といったように安藤が両肩を掴んでくる。

「不倫してたことだってあるし、きっと安藤の家族が知ったら、結婚やめろって言われるよ……」

ずっと思ってたことが口から出た。お互いの家族へ挨拶が済んだけれど、そういうことは一切言ってない。きっかけはお見合いだったことになっている。

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