ほんもの。

やめろ、と言われる前に、やめる。
でも、モヤモヤが晴れない。

「頭を冷やしてくる!」

「ちょ、おい!」

掴む手から逃げて、玄関から外へ出た。
初夏の夕方は少し暑かった。

行く場所なんてないけれど、家から離れてコンビニへ入る。人工的な涼しさに心が少し落ち着いて、スイーツコーナーを見る。

プチシュー12個入り。……これでも買って帰って、安藤に謝ろう。

普通に言えば良いんだ。私は昨夜見たことも言ってないし、安藤からすれば急に結婚のこと持ち出してきて何だって感じだ。

私だったら意味分かんなくて逆ギレする。安藤もしそうだったけど、しなかった。

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