ほんもの。

リビングに行こうとしていた安藤の背中がぴたりと止まる。

「もしかして、さっきの取引先のひと?」

コンビニのビニール袋が擦れ合う音がやけに大きく聞こえた。

「言いたくないなら言わなくても良いよ。安藤の事情だし、私には全く関係ないし。聞くのもこれで終わり。でも、見ちゃって気になったから」

振り向いた安藤がその長い腕をこちらに伸ばして、私の手首を掴む。どん、と勢い良く可愛くない音を出して、安藤の腕の中に飛び込んだ。

「嘘吐いた、ごめん」

あっさりと、嘘は暴かれた。
バサッとコンビニの袋が落ちる。

< 216 / 235 >

この作品をシェア

pagetop