ほんもの。

それから安藤は離れた。と思えば、ぐっと顔を近づけてきたので、何かと思った。

「このまま外出られんの?」

「あ、化粧まだ」

「して来て」

ほらほらとリビングへ押し込められた。玄関からは安藤が外に出ていく音がした。

簡単に化粧を済ませて、鞄に財布と鍵を入れる。玄関の方を見るとやはり安藤は居なくて、すぐ外にいた。

柵の向こうの景色を見ている。と言っても、二階だけれど。

「お待たせしました」

「ああ、はい」

「何見てたの?」

「月白が毎日なに見てんのかなー、と」

ちょっと笑う。隣に並んで自然と手を繋いだ。

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