ほんもの。

紺野さんは言いながらトマトを切り終えて、私の隣から何本かきゅうりを取って行った。

「了解。こっち何か手伝う?」

「これ持って、駐車場の方行ってくれると助かる」

大きなざるに入った大量の素麺を持って、弟くんは玄関へ逆戻り。

「えっと、つまり……」

「安藤さんのお父さんと心中したのは、うちの母親ってことです。まあ、知らなくても良い事実だけれど。安藤さんだって同じことを思ってたと思うよ」

「じゃあどうして、会ったんですか?」

会ったことを責めるわけではなくて、単純な疑問。

私だったら、会わなくても良いと考えた。

< 226 / 235 >

この作品をシェア

pagetop