ほんもの。
紺野さんは言いながらトマトを切り終えて、私の隣から何本かきゅうりを取って行った。
「了解。こっち何か手伝う?」
「これ持って、駐車場の方行ってくれると助かる」
大きなざるに入った大量の素麺を持って、弟くんは玄関へ逆戻り。
「えっと、つまり……」
「安藤さんのお父さんと心中したのは、うちの母親ってことです。まあ、知らなくても良い事実だけれど。安藤さんだって同じことを思ってたと思うよ」
「じゃあどうして、会ったんですか?」
会ったことを責めるわけではなくて、単純な疑問。
私だったら、会わなくても良いと考えた。