ほんもの。
気が重いなー。終わると分かっていて突きつけられるのは私の方なのに。
「安藤さん」
「……なんですか」
お、会社内だからか静かだ。
休憩室で缶コーヒーを飲んでいた安藤を捕まえた。その近くに座る。
「今週末、予定はあります?」
「ないけど……なんだよ、見合いか?」
「私をお見合いおばさんと一緒にしないでよ。あのさ、……会いに行くからついてきて欲しいのですが……」
安藤は怪訝な顔をしてみせ、閃いたようにこちらを向いた。
私が言いたいことが分かったらしい。
そして呆れた顔に変えた。