ほんもの。

言いたいことは分かるって。

「その後奢るから、飲みに行こうよ、ね?」

「俺を修羅場に巻き込む気か」

「遠くで待っててくれたら良いから」

はあ、と大きく溜息を吐いた。私だって行かなくて良いなら行きたくない。

でも人間としてけじめはつけないといけないし。

「まあ良いけど」

「本当に!? 神様仏様安藤様」

「もっと崇め奉れ」

安藤が空缶をゴミ箱に投げた。綺麗に放物線を描いて箱に吸い込まれていった。





当日、安藤は近くで待ってると連絡だけ寄越した。

私はファミレスで三島さんを待った。こうして待っていると、もしかしたら奥さんが来るんじゃないかという不安が付き纏う。

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