ほんもの。

「どっ、え、どうしたの? 安藤酔ってる?」

睫毛長いな。どうでも良いことに目がいってしまう。

押し返したそれ以上の力で戻される。再度唇が重なる。

なんで、急に発情!?
いくつだよ安藤さん!?

するりと間から舌を入れられて、舌をそろりと舐められる。びっくりして足が縺れた。玄関へ二人して雪崩れる。

私の上に安藤が覆い被さるようにしていた。

「な……何のつもり?」

シャツが乱れて、鎖骨が見える。ネックレスのチェーンがかかっていた。

「『もっと良い男がいる』だろ」

どこかで聞いた台詞。

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