ほんもの。

そんな自分がバカだと思うし、おめでたいとも思う。

「風邪?」

「いや、体調崩しただけ。明日は出勤する」

「ちゃんと休んだ方が良いよ」

「へえ、月白が看病しに来てくれんだ?」

それは良かった、と安藤が話をまとめにかかる。そして、エレベーターがとまった。
背中を押されて、エレベーターから追い出される。

振り向いて、腕を組んだ安藤が手を少し上げるのが見えた。
扉が閉まり、行ってしまう。

……行って良いんだ。

嬉しくて、やっぱり私はおめでたい人間だ。
それで良いと思った。

「ただいま帰りました」

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