君は太陽
おかげでそれ以降、彼からのお誘いを受けることはなくなり、その出来事から二週間後のクリスマスデートの日に、『頼むから身につけてて。俺のものだって主張して』と、松嶋くんから指輪をプレゼントされたのだった。
そんな去年の出来事を思い出していると、「まあ、今はそれどころじゃないよねぇ」とのんびりした声がふってきた。
「松嶋くんも遅かれ早かれ東京帰らないといけないし。結衣ちゃんにプロポーズするタイミング、考えてるのかもね」
「……え?」
「だって松嶋くん、あの松嶋グループの御曹司なんでしょ? すごいよねえ」
松嶋グループとは、日本でも有数の大企業で、日本の経済を背負っているといってもいいグループだ。
確かに松嶋くんは同じ『松嶋』ではあるけれど、そんな話を本人から聞いたことは今までなかった。
「小春ちゃん、何それ? 松嶋グループの御曹司って?」
「嘘でしょ。結衣ちゃん、知らなかったの……?」
小春ちゃんの目は丸く見開き、驚いた表情のまま。
多分私も同じ表情をしているに違いない。
松嶋くんが御曹司だなんて、私、聞いたことないよ?
頭の働きが戻ってきたのは、小春ちゃんの方が早かった。
「実はね、私も有村さんから聞いたんだけど。経済新聞の連載で、企業のリーダの半生が書かれてるシリーズがあるらしいの。で、松嶋グループの社長が今連載をしているらしくてね、そこに家族写真が写ってたんだって。男の子は高校生くらいの時の写真だったけど、その彼が松嶋くんによく似てたから、有村さんが直接聞いたらしいのよ。そしたら、本人が認めたって」
有村さんは、小春ちゃんの旦那さんと同期の営業部の男性だ。
新入社員時代は松嶋くんの教育係だったし、今も時々は飲みに行く間柄だから、松嶋くんも嘘はつかないだろう。
そうなると、松嶋グループの御曹司という話は、間違いなく本当だ。
「うちの社長と松嶋くんのお父さんが知り合いってこともあってうちにいるらしいし、社長秘書になったのも、松嶋グループに移る前に、社長の下で経営者としての振る舞いを学ぶためじゃないかって、有村さんが」
「……そうなんだ。入った頃から思ってたけど、やっぱり松嶋くんってすごい人なんだね」
小春ちゃんの目には、私がショックを受けていると見えてしまったらしい。
「でも、松嶋くんのことだから、結衣ちゃんにも時期をみて話そうとは思ってたと思うよ」
「うん。ありがとう、小春ちゃん」
「ああ。本当にごめんね。私ってば、余計なこと言っちゃって」
そんな去年の出来事を思い出していると、「まあ、今はそれどころじゃないよねぇ」とのんびりした声がふってきた。
「松嶋くんも遅かれ早かれ東京帰らないといけないし。結衣ちゃんにプロポーズするタイミング、考えてるのかもね」
「……え?」
「だって松嶋くん、あの松嶋グループの御曹司なんでしょ? すごいよねえ」
松嶋グループとは、日本でも有数の大企業で、日本の経済を背負っているといってもいいグループだ。
確かに松嶋くんは同じ『松嶋』ではあるけれど、そんな話を本人から聞いたことは今までなかった。
「小春ちゃん、何それ? 松嶋グループの御曹司って?」
「嘘でしょ。結衣ちゃん、知らなかったの……?」
小春ちゃんの目は丸く見開き、驚いた表情のまま。
多分私も同じ表情をしているに違いない。
松嶋くんが御曹司だなんて、私、聞いたことないよ?
頭の働きが戻ってきたのは、小春ちゃんの方が早かった。
「実はね、私も有村さんから聞いたんだけど。経済新聞の連載で、企業のリーダの半生が書かれてるシリーズがあるらしいの。で、松嶋グループの社長が今連載をしているらしくてね、そこに家族写真が写ってたんだって。男の子は高校生くらいの時の写真だったけど、その彼が松嶋くんによく似てたから、有村さんが直接聞いたらしいのよ。そしたら、本人が認めたって」
有村さんは、小春ちゃんの旦那さんと同期の営業部の男性だ。
新入社員時代は松嶋くんの教育係だったし、今も時々は飲みに行く間柄だから、松嶋くんも嘘はつかないだろう。
そうなると、松嶋グループの御曹司という話は、間違いなく本当だ。
「うちの社長と松嶋くんのお父さんが知り合いってこともあってうちにいるらしいし、社長秘書になったのも、松嶋グループに移る前に、社長の下で経営者としての振る舞いを学ぶためじゃないかって、有村さんが」
「……そうなんだ。入った頃から思ってたけど、やっぱり松嶋くんってすごい人なんだね」
小春ちゃんの目には、私がショックを受けていると見えてしまったらしい。
「でも、松嶋くんのことだから、結衣ちゃんにも時期をみて話そうとは思ってたと思うよ」
「うん。ありがとう、小春ちゃん」
「ああ。本当にごめんね。私ってば、余計なこと言っちゃって」