し ろ う さ ぎ
「……じ、自殺……」
まだ癒えない痛みがあるかのように伏し目がちに語る彼。
「親父に全部決められて生きてきて。
オレは次男だったから割りと緩く生きてたけど……兄貴は大変だったんだろうな……」
「……そう、でしたか……」
「オレは親父も兄貴も大事だった。
だから……解り合って欲しかった。
でもそれは……叶わなかった」
彼が……死を嘆く理由は……ここにあったのかな。
「……なんで自殺なんか……したんだよって……夢に出てくる兄貴を責めてた。
その度に兄貴は……哀しそうに笑ってて……」
大切だった。
だから彼にとって兄が生きている……それだけで充分だったんだろう。
「……死んだら何も……出来なくてそこで終わるんだよ。
そんな……哀しいこと無い……だろ」
「……っそうですね」
「……だからな……。
葵も……これからすっげえ大変だと思う。
オレが偉そうに言えることじゃないけど……」
「そんなこと……っ」
「もし……生きるのが辛くなったら逃げて来い、な?
逃げて……明日を待つこともアリだとオレは思うし」