白馬に乗った上司様!?
「あの‥‥‥」

「ごめん、この後出なきゃいけないから簡潔にいかせてもらうね。西春さん、昨日中村さんに頼まれて資料作った?」

菊里課長の口調は柔らかだし口元だって笑っているのに、部屋の空気がどこか張り詰めているのを感じる。

質問の態だが、私のファイルを真っ直ぐ見つめている課長の視線から、確認されているのだろうと判断する。
少し責めるようにも感じるその視線は居心地が悪いけれど、逃げるわけにもいかないし責められる理由も思いつかない。

「はい、作りました。中村さんからお願いされた事もありますが、少し作業内容が難しかったので。なにか間違いがありましたでしょうか?」

とはいえ、堂々と返事をする自信はない。伏し目がちにボソボソと返すと、目の前の課長が片方の眉を上げた。

「難しい、ね。確かに西春さんには及ばないだろうけど、中村さんも4年仕事してるんだ。出来ない仕事じゃない、だろう?」

「確かに年次はそうですが、中村さんはああいったコツコツとした作業にあまり向いていなくて、経験もあまりありませんので」

「それは経験する機会を失くしてるからだとは思わない?例えば、すぐ助けてくれる優しい先輩のせいで、とか」

「‥‥‥あの、私は怒られているんでしょうか?」

まさか、良かれと思って残業までして手伝った仕事で怒られるとは思わなかった。思わず口調がキツクなる。


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