白馬に乗った上司様!?
完璧な容姿と爽やかな笑顔、低く通る声さえ魅力的。仕事の能力は当然の事、コミュニケーション能力も高い。ホント、彼に欠点なんてあるんだろうか?

そんな完璧過ぎる菊里課長に、御多分に洩れず私もコロリとやられた。

ただ、私が他の女子社員と違うのは自分をよく分かっていることだ。地味で真面目で融通が利かなくて、それでいて特別仕事が出来るって訳でもなくて。

こんな私が菊里課長に憧れている事を他人に知られることすら恥ずかし過ぎる。

外見は勿論、対人スキルも平均より低めだし、自分に自信もないから発言も出来なくて劣等感だけが肥大してしまってる自覚もある。目立たずひっそり、コツコツと仕事をする事で、なんとか自分の存在意義を見出している小さな人間なのだ。

それでも、こっそり見惚れるぶんには誰の迷惑にもならないだろうと、表向きは微塵も興味ないフリで、こうやっているのだ。


仕事のできる菊里課長は忙しくて直行直帰も多い。なので今日は朝から見れてラッキーだ、とこっそり幸せを噛み締めていたら、後ろから声をかけられた。
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