白馬に乗った上司様!?
引き継ぎとはいえ緑ちゃんは転勤する訳じゃないから彼女の仕事の大体の流れを説明してもらって、特に注意すべき点を挙げてもらっただけ。これまで通り客先への訪問は彼女がするから、私が引き受けるのはもっぱら面倒なデスクワーク全般だ。

見積書の作成に社内の申請書、上司への稟議書など時間と手間ががかかる作業が多いから後輩である緑ちゃんは物凄く申し訳ながったけれど、正直アシスタントに出来る限り投げてくる営業さんも多いから特別大変な訳じゃない。問題は仕事量なのだ。

私が通常受け持つ仕事プラス営業さんから振られる仕事、そこに緑ちゃんの仕事をプラスして更に中村さんに頼られたら私は確実にパンクしてしまう。

「考えてある」と言った菊里課長の言葉に不安はないけれど、他の営業アシスタントの女の子に負担がいくのは申し訳ない。

仕事しながら悶々と考えていた時、課長からのメールが届いた。しかも私宛てじゃなく、課内一斉メールで。

それは要約すると

『西春千草にはしばらく専属的に菊里を手伝ってもらう事になった。これはプロジェクトで仕事量が飛躍的に増えてしまう事への対処である。今後彼女への仕事の依頼を基本的に禁止する。どうしても依頼したい場合は菊里に許可を取ってからにする事』
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