白馬に乗った上司様!?
それでも私が料理に手を付けた後にはようやく話し出してくれたけど、それはあまり納得出来るものじゃなくって。

「つまり、表向きには私が手伝うのはあくまで課長で、緑ちゃんの仕事を手伝う事は隠したいって事ですか?」

「いや、隠すつもりはないよ。でも2年目の営業の、しかも女子社員の為に他の営業に我慢させて専属のアシスタントを付けるっていうのは反発を買いかねないからね。僕の判断で西春さんが手伝ってる、と思ってもらえばいいと考えてる」

「そうですね、年嵩の営業さんは女子社員が外回りするのを好意的に思ってない方も少なくないですし」

歴史の長い会社が多いからか、電機メーカーは意外と古い体質の会社が多い。
女子社員は内勤、外回りは男性。接待に女子社員が行く時は営業マンとしてじゃなく、場に花を咲かせるお酌係として。

中堅以下の年齢ならそうでもないが、最古参の辺りはまだまだそういった偏った意識の社員もいるのが現実だ。

「でもあの文章では私が期間限定で菊里課長の専属アシスタントになるって誤解されてしまいます」

「そうだね。でも、その方が好都合なんだ」
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